腰椎分離症 スポーツ障害
小児の**腰椎分離症(ようついぶんりしょう)**について、以下に概要をまとめます。
■ 腰椎分離症とは
腰椎の後方部分(椎弓)がストレスによって疲労骨折を起こし、分離状態となる病態です。小児期(特に成長期のスポーツ少年)に多くみられます。
■ 好発年齢・性別
- 年齢:10〜15歳の成長期
- 性別:男子に多い
- スポーツ:野球、サッカー、バレーボール、体操など、腰を反らす・捻る動作が多い競技
■ 主な症状
- 腰の鈍痛(特に運動後)
- 腰の反らし動作やジャンプ時の痛み
- 長時間の立位や歩行で悪化
- 神経症状は通常なし(ただし進行するとすべり症を合併し、坐骨神経痛を伴うことも)
■ 診断
1.
X線
- 側面像や斜位像でスコッチテリアサイン(犬の首が切れたような像)
- 初期では変化がない場合もある
2.
MRI
- 骨の炎症反応(初期のストレス反応)を検出可能
- 早期診断に有用
3.
CT
- 骨折線の評価に有用(特に偽関節化の有無)
■ 治療方針
● 初期・骨癒合が期待できる時期
- スポーツ休止(2〜3か月)
- 西良式コルセット装着
- 骨癒合を目指す保存療法が原則
- 痛みが軽減すれば、理学療法で体幹筋強化・柔軟性向上を行う
● 偽関節(骨癒合が得られない場合)
- 多くは保存加療でスポーツ復帰可能
- 持続する痛み・腰椎すべり症の進行例では手術を検討(稀)
■ 予後
- 早期診断・早期治療で骨癒合が可能
- 偽関節でも疼痛コントロールと運動指導によりスポーツ復帰可能
■ ポイント
- 成長期に多い疲労骨折で、安静が最も大切
- 無理に運動を続けると骨癒合が得られなくなる
- 定期的な画像診断で治癒過程を確認しながら段階的復帰を行う