【夏期休業(休診)のお知らせ】
当院は以下の期間、夏期休業のため休診とさせていただきます。 休診期間:2025年8月10日(土)~8月17日(日) ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。 ※8月18日(月)より通常通り診療を再開いたします。 定期受診の方は、お薬が途切れないようにご留意ください。
当院は以下の期間、夏期休業のため休診とさせていただきます。 休診期間:2025年8月10日(土)~8月17日(日) ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。 ※8月18日(月)より通常通り診療を再開いたします。 定期受診の方は、お薬が途切れないようにご留意ください。
以下に**半月板損傷(meniscus injury)**の概要を、整形外科的に簡潔にまとめます。 ■ 半月板損傷とは 膝関節内の**半月板(内側・外側)**に裂け目や断裂が生じた状態。荷重分散・関節安定性に関与し、損傷すると痛みや可動制限が生じます。 ■ 原因 急性損傷:スポーツなどでの膝のひねり・屈伸動作 例:ジャンプ着地時の膝回旋、コンタクトプレー 変性断裂:中高年に多く、加齢で脆くなった半月板に小さな外力が加わる ■ 主な症状 膝の疼痛(特に内側) 引っかかり感(ロッキング) 可動域制限 腫脹(関節水腫) 歩行や屈伸時の違和感 ■ 検査 画像検査: X線(骨病変除外) MRI:高感度・高特異度で断裂の位置・形態を確認 ■ 分類(形態) 縦断裂(縦裂) 横断裂(水平断裂) バケツ柄断裂(ロッキングを起こしやすい) 変性断裂(中高年に多い) ■ 治療方針 分類 方針 症状軽度・非ロッキング 保存療法(物理療法、消炎鎮痛薬、筋トレ) 若年者・急性・縦断裂 関節鏡視下縫合術(保存的価値あり) 変性断裂・高度損傷 関節鏡視下部分切除術(部分摘出) ロッキングあり 手術が第一選択(バケツ柄断裂など) ■ スポーツ復帰目安(参考) 保存療法:2〜6週間程度 関節鏡切除術後:4〜6週前後 縫合術後:3〜4か月(荷重制限・ROM制限期間あり) ■ 合併症・注意点 放置すると軟骨損傷〜変形性膝関節症のリスク 高齢者では再発率・再断裂に注意
以下は**痛風(Gout)**についての概要です。 🔷 痛風とは? 痛風は、血液中の尿酸値が高くなる(高尿酸血症)ことで、関節内に尿酸結晶が沈着し、激しい関節炎(主に足の親指)を引き起こす病気です。 🔶 原因 尿酸の産生増加(例:プリン体の多い食事、アルコール、多血症など) 尿酸の排泄低下(例:腎機能低下、薬剤[利尿薬など]) 遺伝的要因 🔶 症状 急性痛風発作(代表的初発症状) 突然の関節の激痛・腫れ・発赤 特に足の親指の付け根(第1中足趾関節) 夜間〜早朝に多い 発熱や全身倦怠感を伴うことも 慢性痛風 繰り返す発作 痛風結節(耳介・肘・アキレス腱などに尿酸結晶のかたまりができる) 関節の変形や機能障害 🔶 検査 血液検査(尿酸値、CRP、白血球数など) 関節液検査(尿酸結晶の確認) X線(慢性期には骨びらん) 超音波やMRIでの関節病変の評価 🔶 治療 ① 急性発作時の治療 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 当院では主にこちらを処方しています コルヒチン(発作初期に有効) 副腎皮質ステロイド(内服または関節内注射) ※ 尿酸値を急に下げる薬は発作時には使用しない(症状を悪化させるため) ② 発作予防・長期管理 尿酸降下薬の使用(発作が落ち着いてから) アロプリノール(尿酸生成抑制) フェブキソスタット ベンズブロマロン(尿酸排泄促進) 🔶 生活指導(予防のカギ) プリン体を多く含む食品の制限(内臓、干物、ビールなど) アルコール制限 水分摂取の増加 肥満・メタボの是正 適度な運動 高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理 お薬について 「フェブリク(Feburic)」は、痛風や高尿酸血症の治療薬として用いられる尿酸降下薬のひとつです。以下に詳細をまとめます。 🔷 フェブリクとは? 一般名:フェブキソスタット(Febuxostat) 商品名:フェブリク錠(10mg、20mg、40mg、60mg) 分類:選択的キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬 🔶 効果・作用機序 フェブリクは、尿酸の産生に関与するキサンチンオキシダーゼ(XO)という酵素を選択的に阻害することで、尿酸の生成を抑え、血中尿酸値を低下させます。 🔶 適応症 痛風(急性発作の予防) 高尿酸血症(関節障害や腎障害などの合併症を伴う場合) ※ 急性痛風発作中の開始は避ける(発作悪化の可能性あり) 🔶 用法・用量(例) 通常、10~40mgから開始し、効果を見ながら漸増 最大60mg/日まで使用可能(腎機能や尿酸値に応じて調整) 🔶 副作用 初期:痛風発作の誘発(導入初期) 肝機能異常(AST・ALT上昇) 発疹、胃腸症状(腹痛、下痢など) 稀に心血管イベントのリスク増加報告あり ※心疾患既往のある患者には慎重投与 🔶 注意点 投与開始直後はコルヒチンやNSAIDsで発作予防を行うことが推奨される 腎機能に応じて用量調整がしやすい薬剤(腎排泄が少ないため) 血中尿酸値が6.0mg/dL未満を目標に治療 🔶 他の尿酸降下薬との違い 薬剤名 作用機序 特徴 アロプリノール 非選択的XO阻害薬 古くから使われる。副作用注意。 フェブリク 選択的XO阻害薬 肝代謝。腎障害患者にも使いやすい。 ベンズブロマロン 尿酸排泄促進薬 尿酸排泄型。尿路結石リスクに注意。 「ユリス®(Yuris)」は、**一般名:ドチヌラド(Dotinurad)という、有効性と安全性に優れた選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)**で、2020年5月に日本国内で発売された比較的新しい高尿酸血症・痛風治療薬です (med.mochida.co.jp)。 🔷 ユリスの特徴 ① URAT1選択的阻害 腎臓の近位尿細管にある「URAT1トランスポーター」を選択的にブロックし、尿酸の再吸収を防ぐことで尿中排泄を促進し、血中尿酸値を効果的に低下させます (ehealthclinic.jp)。 ② 他トランスポーターへの影響が少ない ABCG2やOAT1/OAT3といった他の排泄経路には影響しにくく、腎臓への負担が少ないことが特徴です (medi-career.jp)。 📊 […]
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう / Osteoarthritis of the Hip) ■ 概要 変形性股関節症は、股関節の関節軟骨がすり減り、関節の変形・痛み・可動域制限が進行する疾患です。進行性であり、高齢者に多いものの、若年者にも先天性の股関節疾患が原因で発症することがあります。 ■ 主な原因 一次性(特発性):加齢や体重増加に伴う慢性的な負荷 二次性(日本では多い): 先天性股関節脱臼(先天性股関節形成不全) Perthes病、臼蓋形成不全、大腿骨頭すべり症などの既往 外傷、感染、関節リウマチ ■ 症状 股関節の運動時痛(特に立ち上がり・歩行時) 可動域制限(あぐら、正座が困難) 長時間の歩行や階段昇降での疲労感 進行すると安静時痛も出現 歩行時の跛行(はこう) 脚長差、股関節周囲の筋力低下 ■ 診断 問診・視診・触診 X線検査:関節裂隙の狭小化、骨棘形成、骨硬化、嚢胞形成 必要に応じてMRI・CT:軟骨や骨頭の詳細評価 ■ 病期分類(Kellgren-Lawrence分類など) Stage I:関節裂隙の狭小化軽度 Stage II:骨棘形成、裂隙狭小中等度 Stage III〜IV:高度狭小化、骨頭の変形・破壊 ■ 治療 ● 保存療法(初期〜中等度) 体重管理(減量) 杖・歩行補助具の使用 股関節周囲筋の筋力トレーニング(大腿四頭筋・中殿筋強化) 消炎鎮痛剤(NSAIDs) 関節注射(ヒアルロン酸、ステロイド) 物理療法(温熱・電気など) ● 手術療法(進行期・保存療法無効時) 骨切り術(若年者、関節保存可能例) 人工股関節全置換術(THA: Total Hip Arthroplasty) 高齢者や重度の関節破壊例で有効。整形外科で最も成功した手術治療と言われる。 QOL改善が大いに期待される標準的治療 ■ 予後と生活指導 運動療法での筋力維持と関節保護が重要 正座・しゃがみ込み・激しい運動は回避 関節温存を目的とした早期発見・早期介入が重要 THA後は再脱臼・感染などに注意しながらリハビリと定期フォロー
シーバー病(Sever病)は、**踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)**とも呼ばれ、小児の踵(かかと)の成長痛として知られています。以下に概要をまとめます。 ■ シーバー病(Sever病)の概要 項目 内容 別名 踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう) 好発年齢 8〜13歳頃の活発な男児に多い(女子ではやや低年齢) 原因 成長期の踵骨骨端核への繰り返す牽引ストレスや圧迫力(特にアキレス腱の牽引) 誘因 サッカー、バスケットボール、陸上などジャンプや走る動作の多いスポーツ活動 主な症状 – 踵の痛み(特に運動後や朝の一歩目)- 踵を押すと痛がる(圧痛)- つま先立ちや走ると痛みが増す 診断方法 – 臨床所見が中心(圧痛+運動誘発)- レントゲンで骨端線の拡大や不整を確認(ただし所見がないことも) 治療 原則保存療法(成長により自然治癒)1. 安静/スポーツ制限2. アイシング(運動後)3. ヒールカップやインソールの使用4. アキレス腱やふくらはぎのストレッチ5. 鎮痛薬(必要時) 予後 成長とともに自然に軽快することが多い。通常は数週間〜数ヶ月で改善。 復帰の目安 痛みが完全に消え、つま先立ちや走行で痛みがないこと
鼠径部症候群(Groin Pain Syndrome / Groin Syndrome)の概要 ■ 定義 鼠径部症候群は、スポーツ選手(特にサッカーやラグビーなど)に多くみられる、慢性的な鼠径部痛を呈する疾患群の総称です。解剖学的に明確な障害部位が特定できない場合も多く、「スポーツヘルニア」「アスリートヘルニア」とも呼ばれることがあります。 ■ 原因 複合的な要因が関与します。主なものは以下の通り: 腹直筋腱・内転筋腱の付着部炎(enthesopathy) 恥骨結合の不安定性や炎症 骨盤内の筋膜性障害(薄筋・内転筋・腹直筋など) 股関節インピンジメント(FAI) 股関節唇損傷 スポーツヘルニア(鼠径管後壁の脆弱性) ■ 症状 鼠径部(内側太ももや下腹部)における運動時の疼痛 特にキック動作、方向転換、ダッシュ、腹筋運動などで悪化 安静時は無症状であることが多い 一部では反復する股関節前面の違和感も訴える ■ 診断 診断は主に**問診と身体所見、画像診断(除外診断を含む)**により行われます。 身体診察:内転筋抵抗テスト、腹筋抵抗テスト、片足立位・開排・閉脚運動での疼痛評価 画像検査: X線(恥骨結合や股関節変形評価) MRI(筋腱付着部炎、恥骨骨髄浮腫の有無 ■ 治療 基本は保存療法で、再発予防のためにも原因に応じたリハビリが重要です。 ● 保存療法(主流) 安静・運動制限 消炎鎮痛薬(NSAIDs) 物理療法(温熱、超音波) リハビリ(体幹・骨盤帯の安定性強化、柔軟性向上) テーピング・サポーターの使用 ■ 予後とスポーツ復帰 保存療法でも数週〜数ヶ月の加療で改善する例が多い 手術後も約8〜12週間でスポーツ復帰可能 再発防止にはコアマッスルの安定化トレーニングが重要 ■ スポーツ復帰のチェックポイント 完全な疼痛消失 腹筋・内転筋の筋力左右差解消 股関節の可動域が十分 ジャンプ・ダッシュ・方向転換時に痛みなし
小児の**腰椎分離症(ようついぶんりしょう)**について、以下に概要をまとめます。 ■ 腰椎分離症とは 腰椎の後方部分(椎弓)がストレスによって疲労骨折を起こし、分離状態となる病態です。小児期(特に成長期のスポーツ少年)に多くみられます。 ■ 好発年齢・性別 年齢:10〜15歳の成長期 性別:男子に多い スポーツ:野球、サッカー、バレーボール、体操など、腰を反らす・捻る動作が多い競技 ■ 主な症状 腰の鈍痛(特に運動後) 腰の反らし動作やジャンプ時の痛み 長時間の立位や歩行で悪化 神経症状は通常なし(ただし進行するとすべり症を合併し、坐骨神経痛を伴うことも) ■ 診断 1. X線 側面像や斜位像でスコッチテリアサイン(犬の首が切れたような像) 初期では変化がない場合もある 2. MRI 骨の炎症反応(初期のストレス反応)を検出可能 早期診断に有用 3. CT 骨折線の評価に有用(特に偽関節化の有無) ■ 治療方針 ● 初期・骨癒合が期待できる時期 スポーツ休止(2〜3か月) 西良式コルセット装着 骨癒合を目指す保存療法が原則 痛みが軽減すれば、理学療法で体幹筋強化・柔軟性向上を行う ● 偽関節(骨癒合が得られない場合) 多くは保存加療でスポーツ復帰可能 持続する痛み・腰椎すべり症の進行例では手術を検討(稀) ■ 予後 早期診断・早期治療で骨癒合が可能 偽関節でも疼痛コントロールと運動指導によりスポーツ復帰可能 ■ ポイント 成長期に多い疲労骨折で、安静が最も大切 無理に運動を続けると骨癒合が得られなくなる 定期的な画像診断で治癒過程を確認しながら段階的復帰を行う
肉離れからの運動復帰の基準は、損傷の重症度によって異なりますが、以下のような臨床的評価項目をクリアすることが一般的な目安とされています。 ■ 運動復帰のための基本的な判断基準 項目 判定基準 ※疼痛の消失 必須 運動時・ストレッチ時に痛みがない(再発リスクが高いため痛みがある場合は不可)・圧痛がない ※可動域の回復 必須 損傷部位の関節の可動域が健側と同等 筋力の回復 筋力テストで健側の90%以上を確保(等尺性収縮時) ジャンプ・ランテスト 片脚ジャンプ・ダッシュ・カット動作で疼痛なく実施可能 再発予防トレーニング 筋力・柔軟性・バランスなどを含めた再発予防メニューを完了している ■ 重症度別の運動復帰までの目安(あくまで一般的) 重症度 競技復帰までの期間目安 軽度(Ⅰ度) 約1〜2週間 中等度(Ⅱ度) 約4〜12週間 重度(Ⅲ度) 12週以上(手術例ではさらに長期) ■ 医療的チェック(必要に応じて) 超音波またはMRIでの治癒確認 理学療法士やスポーツドクターによる最終評価 ■ 備考 焦って早期復帰すると再発率が高くなる(再発率は30〜40%とも) 特に過去に肉離れを起こした部位では慎重な復帰判断が必要
オスグッド病(正式名称:オスグッド・シュラッター病)は、成長期のスポーツをする子どもに多くみられる膝のスポーツ障害です。以下に概要をまとめます。 ■ オスグッド病の概要 項目 内容 別名 オスグッド・シュラッター病脛骨粗面骨軟骨炎 好発年齢 小学校高学年~中学生(10〜15歳)男子に多い 原因 成長期における太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が、膝の下の骨(脛骨粗面)を繰り返し引っ張ることにより炎症が起きる 症状 – 膝下の隆起部(脛骨粗面)の痛み・腫れ- 押すと痛い(圧痛)- 走ったりジャンプ時に痛む- 膝を曲げづらいことも 診断 – 問診・身体診察(圧痛、隆起の確認)- レントゲン(脛骨粗面の骨の変化)で確認可能 治療 保存的治療が基本:- スポーツ休止や制限(特にジャンプ・ダッシュ)- アイシングや鎮痛剤(必要に応じて)- ストレッチ(大腿四頭筋の柔軟性改善)- サポーター・バンドの使用 予後 成長に伴い自然に治ることが多いが、膝下の隆起が残ることもある 予防 運動前後のストレッチ無理のない練習計画
肘内障(ちゅうないしょう)は、**幼児に多い肘関節の亜脱臼(正確には橈骨頭の亜脱臼)**で、俗に「肘が抜けた」とも言われます。以下に概要をまとめます。 ■ 肘内障の概要 項目 内容 定義 橈骨頭が輪状靱帯から部分的に逸脱した状態(亜脱臼) 好発年齢 1〜5歳の幼児(特に2〜3歳) 原因 手を引っ張る・持ち上げるなどの外力(例:子どもと手をつないで歩いていて、転びそうになったときに引っ張る など) 症状 肘の痛み、動かさない(特に肘を曲げたがらない)、腕をだらんと下げたまま手掌を内側にして保持 診断 典型的なエピソードと症状から臨床診断(X線は通常不要。ただし骨折との鑑別が必要な場合には撮影) 治療 徒手整復(多くはすぐに整復され、直後に動かせるようになる)整復法:回外しながら屈曲、または回内しながら屈曲 予後 良好(整復後すぐに動かせるようになる)ただし再発しやすい(複数回繰り返すことも) 注意点 ・再発予防のため、引っ張らないように注意する・繰り返す場合や整復困難例では整形外科受診を勧める