整形外科の肩の病気・けが
肩の病気・けがについて
肩は複雑に動く関節 ― 痛みの原因は様々
肩は私たちの腕を自由に動かすためにとても大切な関節です。しかし同時に、複雑で繊細な構造をしているため、様々な病気やけがのリスクがあります。
肩の痛みやこわばりは、日常生活に大きな影響を与えます。物を持ち上げたり、高いところに手を伸ばしたり、後ろに手を回したりといった動作が難しくなると、仕事や家事、趣味の活動にも支障が出やすいのです。
原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが、早期改善と再発防止につながります。
こんな症状はありませんか?
- 肩が痛くて腕が上げられない
- 肩や腕に夜間痛(夜中に痛みで目が覚める)がある
- 肩がこわばって動きが悪い、可動域が制限されている
- 肩が脱臼した、またはなんか外れた感覚がある
- 肩の痛みが数週間以上続いている
- 腕が重い、だるいという症状がある
肩の構造と特徴
肩関節は「上腕骨」「肩甲骨」「鎖骨」から成り立っており、複数の筋肉、腱、靭帯によって支えられています。腕を様々な方向に動かすことができる利点がある一方で、構造が複雑なため、いろいろな部位が痛みやすいのが特徴です。
肩を安定させるための筋肉を「腱板」(けんばん)と呼びます。腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の4つの筋肉からなっており、肩の深い部分で関節を支えています。この腱板の損傷が、肩の痛みの原因になることが多いです。
主な肩の病気・けが一覧
整形外科で扱う肩の疾患には、様々なものがあります。以下は、よく見られる主な疾患です。
| 疾患名 | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| 肩関節周囲炎 (五十肩) | 肩関節の炎症により、痛みと可動域制限(肩が上がらない、後ろに回らないなど)が生じます。40〜60代に多く、加齢に伴うことが多いですが、適切なリハビリで改善します。 |
| 肩関節拘縮 (凍結肩) | 肩の手術後や長期固定、または五十肩が進行することで、肩が硬くなり可動域が制限される状態です。可動域の改善を目指してリハビリを行います。 |
| 腱板損傷・ 腱板断裂 | 肩を支える腱板という筋肉の腱が傷つく(損傷)、または切れる(断裂)状態です。挙上困難、夜間痛、力が入らないなどの症状があります。加齢や外傷が原因となります。 |
| 肩関節不安定症・ 脱臼 | 肩関節が不安定になり、脱臼を繰り返す状態です。若年者に多く、スポーツの外傷がきっかけになることが多いです。バンカート損傷などの靭帯損傷を伴うことがあります。 |
| 石灰沈着性 腱板炎 | 腱板に石灰が沈着することで、急性の激痛と炎症が生じます。突然の激しい肩痛が特徴です。多くの場合、自然に石灰が吸収されて改善します。 |
| 変形性肩関節症 | 肩関節の軟骨が摩耗することで、痛みと可動域制限が生じます。加齢に伴って進行することが多く、進行すれば人工肩関節置換術が適応されることもあります。 |
| 肩鎖関節脱臼 | 肩への直接外傷(転倒など)により、鎖骨が上方へずれる状態です。重症度により保存療法または手術による治療を選択します。 |
| 関節唇損傷 | 肩関節の関節唇(軟骨の輪郭を形作る組織)が傷つく状態です。スポーツによる外傷後に生じることが多く、肩の不安定感や引っかかり感を伴います。 |
| 上腕二頭筋 長頭腱炎・断裂 | 肩の前部の痛みが生じます。腱板病変に合併することが多いです。断裂すると「ポパイサイン」と呼ばれる力こぶの変形が見られます。 |
| 胸郭出口症候群 | 肩から手にかけてのしびれやだるさを訴えます。神経や血管が圧迫されることが原因で、運動療法が中心となります。 |
医師の診察が必要な場合
以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
- 肩の痛みが2週間以上続いている
- 夜中に痛みで目が覚めることがある
- 腕が上げられない、または動かすと強い痛みがある
- 最近の外傷(転倒や衝突)直後から痛みが出た
- 肩が脱臼した、または脱臼したような感覚がある
- 肩の痛みで日常生活に支障が出ている
- 手や腕がしびれている
- 腕の力が入らない、または弱くなった
当院の肩の診療
岸谷整形外科クリニックでは、最新の診断機器と多角的な治療法により、肩の疾患に対応しています。
検査・診断
肩の疾患を正確に診断するため、複数の検査を組み合わせています。
| 検査方法 | わかること |
|---|---|
| X線検査 (レントゲン) | 骨の構造、変形、脱臼の有無などを確認します。 |
| 超音波検査 (エコー) | 腱板の損傷、炎症、石灰の沈着などを、リアルタイムで動的に評価できます。被曝がなく、繰り返しの検査が可能です。 |
| MRI検査 | 腱板の細かな損傷、関節唇の損傷、骨髄の変化など、軟部組織をより詳しく評価できます。 |
治療方法
診断結果に基づいて、保存療法から手術まで、幅広い治療オプションを提供しています。
- 超音波検査ガイド下注射 ― 正確に薬剤を病変部に注入し、炎症と痛みを軽減します
- ハイドロリリース ― 局所麻酔薬とステロイドを注入して、神経周囲の癒着を解放します
- 体外衝撃波治療 ― 特殊な衝撃波を当てて、血流を改善し治癒を促進します
- 関節内注射 ― ステロイドやヒアルロン酸を関節内に注入して、炎症と痛みを軽減します
- サイレント・マニピュレーション ― 全身麻酔下で肩を動かして、凍結肩の可動域を改善させる手術です
- リハビリテーション ― 理学療法士による運動療法で、可動域の改善と筋力強化を行います
※ 当院では患者さんの症状と検査結果に基づいて、最適な治療法を提案します。手術が必要な場合は、信頼できる医療機関をご紹介いたします。
日常生活で気をつけること
肩の痛みを予防し、改善を促進するため、日常生活で心がけたいことをご紹介します。
- 正しい姿勢を心がける ― 猫背やスマートフォン首は肩に負担をかけます
- 荷物の持ち方に工夫する ― 片肩ではなく、できるだけ両肩で持つようにしましょう
- 急激な運動を避ける ― 特に肩を酷使するスポーツは、準備運動と段階的な増加が大切です
- 患部を冷やす・温める ― 急性期は冷却、慢性期は温熱療法が効果的です
- ストレッチと筋トレ ― 肩の柔軟性と安定性を保つ運動習慣が重要です
- 充分な睡眠と栄養 ― 組織の修復と炎症の改善に必要です
肩の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください
肩の痛みやこわばりは、適切な診断と治療で多くの場合改善します。症状が続いている方、
原因がわからない方は、まずお気軽にご来院ください。当院では患者さんの状態に応じて、
最適な治療プランをご提案させていただきます。
よくある質問
肩の痛みはどのくらいで治りますか?
原因や重症度によって異なります。炎症が主な場合は数週間で改善することもありますが、腱板損傷など構造的な損傷がある場合は、数ヶ月のリハビリが必要なこともあります。医師の指導に従って気長に治療を続けることが大切です。
肩の痛みで、手術が必要になることはありますか?
多くの肩の疾患は、保存療法(薬物療法、注射、リハビリなど)で改善します。ただし、腱板断裂が大きい場合、脱臼を繰り返す場合、または保存療法で改善しない場合は、手術が必要になることもあります。
五十肩は自然に治りますか?
肩関節周囲炎(五十肩)は、数ヶ月から数年かけて自然に改善することもありますが、放置すると可動域が制限されたまま残ることもあります。早期にリハビリを開始することで、改善期間を短縮でき、より良い結果が期待できます。
超音波検査(エコー)は痛いですか?
超音波検査は、プローブと呼ばれる小さな器具を肌に当てるだけで、痛みはありません。妊娠中の方も含めて、繰り返し行うことができる安全な検査です。
肩の痛みが夜中に強くなるのはなぜですか?
夜間痛は、肩の炎症が強い時に見られる症状です。日中の活動が終わって体を休める時間になると、炎症が顕著になることがあります。また、夜間は気を紛らわせるものがないため、痛みをより強く感じることもあります。
どのような症状があれば、すぐに病院に行くべきですか?
肩の脱臼、または脱臼したような強い痛みと不安定感がある場合は、直ちに医療機関を受診してください。また、最近の外傷(転倒など)直後から激しい痛みや腫脹がある場合も、なるべく早めに受診することをおすすめします。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。
最終更新日:2026年3月





