整形外科の股関節の病気・けが
股関節の病気・けが
股関節の主な疾患と診断・治療の基本を知る
股関節は、足と骨盤をつなぐ重要な関節です。歩く、走る、階段を上り下りするなど、日常生活のあらゆる動きで使われています。
ところが、股関節は上半身を支え、大きな力がかかる部位だからこそ、様々な病気やけがに見舞われやすい関節でもあります。痛みや動きの悪さを感じたら、症状の原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが大切です。このページでは、整形外科で扱う股関節の主な疾患と、診断・治療の方法についてわかりやすく説明します。
こんなときは股関節の病気の可能性があります
- 股関節や鼠径部(そけいぶ)に痛みがある
- 足を開く・閉じる時に痛みや引っかかりを感じる
- 脚の長さが違って見える、歩き方がおかしいと言われた
- 運動中や激しい活動後に股関節が痛む
- 股関節から「クリック音」や「ポップ音」が聞こえる
- 膝や腰ではなく股関節そのものが痛い
股関節の主な病気
整形外科で扱う股関節の疾患は、加齢に伴う変形性疾患から、若年層に多いスポーツ損傷、小児特有の疾患まで、年代によって異なります。以下は、臨床現場で頻度が高く、診断・治療の重要性が高い疾患をまとめたものです。
| 疾患名 | 特徴・概要 |
|---|---|
| 変形性股関節症(OA) | 加齢や先天的な形態異常(臼蓋形成不全など)により軟骨が摩耗し、疼痛・可動域制限をきたす。女性に多い。 |
| 股関節唇損傷 | 関節唇の断裂により疼痛やクリック音が出現。大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)との関連あり。 |
| 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) | 骨形態異常により運動時に股関節が衝突し、疼痛や可動域制限を生じる。若年~中年層に多い。 |
| 大腿骨頭壊死症 | ステロイド使用やアルコール摂取が原因となり、骨頭の血流障害から壊死を起こす。進行するとOAに移行。 |
| 大腿骨近位部骨折 | 高齢者の転倒で頻発。早期手術がADL・生命予後に直結する。 |
| 鼠径部痛症候群 | アスリートに多く、股関節周囲の筋腱・骨膜などの障害が原因。複数の原因が混在することが多い。 |
| 弾発股 | 股関節を動かすときに、腱や靭帯が骨にひっかかり、クリック音や痛みが出現。スナッピングヒップ。 |
| 小児の股関節疾患 | ペルテス病(大腿骨頭骨端壊死症)、大腿骨頭すべり症、先天性股関節脱臼など。成長期特有の疾患。 |
診察から検査まで
股関節の疾患を正確に診断するには、まず詳しい聴取と身体診察が不可欠です。その後、画像検査や特殊な検査を組み合わせることで、より詳しい情報を得ることができます。
診察で行う主な確認項目
- いつから、どのような状況で痛みが出始めたのか
- 痛みの場所と、その場所に一致する動きの制限
- 股関節の可動域(ROM)の確認
- 股関節の安定性の評価
- 神経学的所見(感覚や筋力の異常)
主な検査方法
| 検査 | わかること・用途 |
|---|---|
| X線(レントゲン) | 骨の形態、関節の形状、変形性疾患の程度を確認。スクリーニング検査として最初に行うことが多い。 |
| 超音波検査(エコー) | 軟部組織(筋肉・腱・靭帯)の損傷や炎症、関節液の有無をリアルタイムで確認。被ばくなし。 |
| MRI検査 | 軟骨や靭帯、神経などの詳細な評価に優れている。特に関節唇損傷や早期の骨壊死の診断に有効。 |
| CT検査 | 複雑な骨形態や骨折の詳細を確認。手術計画に役立つ。 |
当院での股関節の診療
当院では、最新の診断機器と保存的治療・運動療法に力を入れることで、患者さんのQOL向上を目指した治療を提供しています。
検査機器
- X線検査 ― 骨の形態異常や変形性疾患の程度を正確に把握
- 超音波検査(エコー) ― 軟部組織の病態を「見える化」し、より正確な診断と治療につなげる
- MRI検査 ― 関節唇損傷やFAI、初期の壊死症など、複雑な病態の詳細な評価
保存的治療
- ヒアルロン酸注射 ― 関節の保護と症状の緩和。変形性股関節症の初期段階で有効
- 体外衝撃波治療(ESWT) ― 難治性の腱付着部症や、血流障害を改善する治療
- ハイドロリリース ― 超音波ガイド下での注射で、神経や筋膜の圧迫を軽減
- リハビリテーション ― 股関節周囲の筋力強化と可動域改善。スポーツ復帰を目指すプログラムも対応
治療の選択
疾患や症状の程度により、以下のような治療を組み合わせて行います。
- 急性炎症期 ― 安静・冷却・消炎薬による症状管理
- 亜急性期 ~ 慢性期 ― 注射療法とリハビリテーションの組み合わせ
- 保存治療の限界 ― 専門医への紹介と手術の検討
股関節を守るために
日常生活での注意点
- 正しい姿勢の維持 ― 股関節に無理な力がかからない姿勢を心がける
- 急激な運動は避ける ― スポーツを始める前にウォーミングアップを十分に
- 適正体重の維持 ― 体重の増加は股関節の負担を大きく増やします
- 股関節周囲のストレッチ ― 毎日の軽いストレッチで柔軟性を維持
- 階段の上り下りに注意 ― ゆっくり、手すりを活用して安全に
こんな場合は受診をおすすめします
- 股関節の痛みが2週間以上続いている
- 痛みが次第に強くなっている、または範囲が広がっている
- 夜間に痛みで目が覚める
- 足の長さが違うと家族に指摘された
- スポーツ復帰を考えており、安全性を確認したい
股関節の痛みやお悩みは、お早めにご相談ください
股関節は私たちの生活を支える重要な関節です。痛みや機能障害を感じたら、症状が悪化する前に、
早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
当院では、診断から治療、リハビリテーションまで、あなたの回復をサポートします。
よくある質問
股関節が痛いのですが、何科を受診すればいいですか?
股関節の痛みは、整形外科が専門です。内科や他科の疾患による痛みもありますが、まずは整形外科で関節に異常がないか確認することをおすすめします。
股関節の音(クリック音)がするのですが、問題ありますか?
音だけで痛みがなければ、多くの場合は問題ありません。ただし、痛みを伴う場合は、関節唇損傷やFAIなど、治療が必要な疾患の可能性があります。診察をおすすめします。
X線に異常がないと言われましたが、痛みが続きます。なぜですか?
X線は骨の形態を見る検査です。軟部組織(軟骨、靭帯、筋肉)の損傷は映りません。MRIや超音波検査を行うと、X線では見えない異常が見つかることもあります。
ヒアルロン酸注射はどのくらい効きますか?
効果は個人差がありますが、多くの場合、注射後1~2週間で効果が出始め、3~6ヶ月継続することが期待できます。定期的に継続することで、より良い結果が得られるため、医師と相談のうえで治療計画を立てることが大切です。
股関節の手術が必要と言われました。手術しかないですか?
手術の必要性は、疾患の種類と重症度によって異なります。当院では保存的治療を第一選択としていますが、症状が改善しない場合や、疾患の性質上手術が必要な場合は、専門医への紹介も行っています。
スポーツを続けながら、治療できますか?
疾患と症状の程度によって異なります。痛みのない活動は継続でき、リハビリテーションと並行することで、スポーツ復帰を目指すことも可能です。医師と相談のうえで、安全な運動強度を決めていきましょう。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。
最終更新日:2026年3月





