腰椎椎間板ヘルニアについて
「腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)」について、医学的に簡潔に説明します。
■ 定義
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の椎間板(背骨の間にあるクッションのような軟骨組織)が飛び出して、神経を圧迫する状態を指します。
■ 主な症状
腰痛
下肢の痛みやしびれ(坐骨神経痛が代表的)
筋力低下(重症例では足が上がりにくくなる)
感覚障害
排尿・排便障害(※重症の「馬尾症候群」では緊急手術が必要)
■ 好発年齢
20〜50歳の男性に多く、重いものを持ち上げたり、長時間座る姿勢が続くと発症しやすいです。
■ 原因
加齢による椎間板の変性
過度な負荷(重量物運搬など)
喫煙や遺伝的要因も関与する場合があります
■ 診断
MRIが最も有用(神経圧迫の程度を詳細に評価可能)
X線では骨の変化を確認
徒手検査(SLRテストなど)も行われます
■ 治療
保存療法(まずはこちらが基本)
薬物治療(NSAIDs・神経障害性疼痛治療薬)
理学療法(ストレッチ・体幹筋トレーニング)
ブロック注射(神経根ブロック)
手術療法(以下の場合に考慮)
保存療法で改善がない
筋力低下が進行
尿失禁などの馬尾症候群
→ ヘルニア摘出術(顕微鏡下摘出、内視鏡手術など)
■ 予後
多くは保存療法で数週間〜数か月で改善しますが、再発率は10〜15%程度とされています。