整形外科のおもな病気 各論

関節リウマチ

炎症性疾患

関節リウマチについて

複数の関節が痛む ― 朝のこわばりが特徴的な病気

朝起きた時、両手の指がこわばって動かしにくい、複数の関節が痛む ― もしかしたら「関節リウマチ」かもしれません。

関節リウマチは、免疫系の異常によって関節に炎症が起こる病気です。適切な治療を受けることで、病気の進行を抑え、日常生活への影響を最小限にすることが可能です。早期診断・早期治療が特に重要です。

こんな症状はありませんか?

  • 朝、手指が硬くて動かしにくい(朝のこわばり)
  • 両手の同じ位置の関節が痛い・腫れている
  • 手首や足の指の関節が痛む
  • 痛みや腫れが数週間以上続いている
  • 関節だけでなく全身がだるい、疲れやすい

関節リウマチとは?

関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は、免疫系が誤って自分の関節を攻撃することで起こる慢性炎症性疾患です。

通常、免疫系は病原菌やウイルスから体を守る働きをしますが、関節リウマチでは、この免疫系が関節の内側の膜(滑膜)を敵だと勘違いして攻撃します。その結果、関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、やがては関節の破壊につながります。

特徴的なのは「対称性」です。右手の人差し指が痛ければ、左手の人差し指も同じように痛むことが多いです。また、手首、足の指、膝など複数の関節が同時に影響を受けることが一般的です。

関節リウマチの原因

関節リウマチの原因は、完全には解明されていませんが、以下のような要因が組み合わさることで発症すると考えられています。

主な発症要因

  • 遺伝的素因 ― 家族に関節リウマチの患者がいると発症リスクが高まります
  • 免疫異常 ― 自己免疫反応が過剰に起こりやすい体質
  • 環境要因 ― 感染症やストレスがきっかけになる可能性
  • 女性ホルモン ― 女性が男性の2〜3倍かかりやすい理由とも考えられています
  • 喫煙 ― 喫煙は発症リスクを高める要因として知られています

注目:関節リウマチは「感染症ではない」ので、他の人にうつることはありません。また、「親が関節リウマチだから自分も必ずなる」というわけではありません。

関節リウマチの症状

関節の症状

  • 朝のこわばり ― 朝起きた時、手指や足が硬くて動かしにくい(通常1時間以上続く)
  • 痛みと腫れ ― 手指の関節(特にPIP関節、MCP関節)、手首、足の指に起こりやすい
  • 対称性 ― 両手、両足の同じ位置に症状が出ることが特徴的
  • 関節の破壊 ― 治療を受けないと、数か月から数年で関節が変形したり、機能が失われる

全身症状

  • 疲労感、倦怠感
  • 低熱が続くことがある
  • 体重減少
  • 寒気を感じることがある

関節以外の症状

重症化すると、関節以外の臓器にも影響が出ることがあります。

  • 肺炎や肺線維症(呼吸困難)
  • 心膜炎(胸痛)
  • 貧血
  • 眼の炎症
  • 皮下結節(肘やかかとにしこりができる)

検査・診断

関節リウマチは複数の検査を組み合わせて診断します。一つの検査だけでは確定診断できないため、医学的な基準に基づいて総合的に判断されます。

検査項目目的・内容
血液検査
(RF、抗CCP抗体、CRP、ESR)
リウマチ因子や炎症マーカーを調べ、RA診断の大切な手がかりになります
超音波検査
(エコー)
関節の炎症の程度や滑膜の厚さをリアルタイムで観察。微小な変化も捉えられます
オープンMRI関節の炎症や軟骨・骨の変化を詳しく調べます。放射線を使わないため安全です
X線
(レントゲン)
病気が進行して、骨や関節がどの程度破壊されているかを評価

当院での治療

関節リウマチの治療では、「寛解」(症状がほぼ消失した状態)を目指します。特に診断から3ヶ月以内の「治療ウィンドウ」で適切な治療を開始することが、長期的な予後を大きく左右します。

薬物療法

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ― 痛みと炎症を和らげる
  • ステロイド薬 ― 強力な抗炎症作用。寛解到達までの短期使用が主
  • 抗リウマチ薬(DMARDs) ― 病気の進行を抑える。メトトレキサートが第一選択
  • 生物学的製剤 ― 炎症の原因となるサイトカインを標的にした新しい治療。高い効果が期待できます

当院の医学的検査と治療サポート

  • 超音波検査(エコー) ― 関節の炎症を「見える化」し、治療効果をリアルタイムに判定できます。関節穿刺吸引時の精密なガイドにもなります
  • オープンMRI ― 広い開口で患者さんが安心。関節や周囲の組織の詳細な評価が可能です
  • リハビリテーション ― 関節の機能維持と筋力強化。作業療法士による日常生活動作の工夫指導も行います
  • 体外衝撃波 ― 炎症の軽減と血流改善に使用される補助療法
  • ハイドロリリース ― 超音波ガイド下で、患部周囲の組織を精密に剥離し、痛みを軽減

治療の目標

現代の関節リウマチ治療の目標は「DAS28スコア1.6以下」または「寛解」の達成です。これにより、関節破壊の進行を抑え、患者さんの生活の質を大きく改善できます。

日常生活で気をつけること

日常生活の工夫

  • 朝のこわばり対策 ― 温かいお風呂に入る、温かい飲み物を飲むなど、朝の関節を温めてから活動する
  • 関節への負荷を軽減 ― 重いものを片手で持たない、握力を使わない工具(レバー式など)を活用
  • 適度な活動 ― 完全に動かないと筋力が低下します。リハビリの指導に基づいて活動する
  • 十分な睡眠 ― 免疫機能の正常化に欠かせません

食生活・その他

  • バランスの良い食事 ― 特に青魚に含まれるオメガ3脂肪酸は抗炎症作用があります
  • 喫煙の中止 ― 喫煙は病気を悪化させます
  • ストレス軽減 ― 免疫機能に影響するため、自分に合った方法でリラックスする
  • 定期的な受診と検査 ― 薬の効果と副作用を定期的に確認することが重要です

このような症状がある方は、お早めにご相談ください

朝のこわばりが続く、複数の関節が痛い、手指が腫れているなどの症状がある場合は、
できるだけ早く医師の診察を受けることをおすすめします。関節リウマチは
早期の治療開始が、長期的な予後を大きく左右する病気です。

よくある質問

朝のこわばりだけで関節リウマチと言えますか?

朝のこわばりは関節リウマチの典型的な症状の一つですが、診断には他の検査も必要です。こわばりが1時間以上続く、複数の関節に起こる、数週間以上続いている場合は、血液検査や画像検査を受けることをおすすめします。

関節リウマチは治せますか?

現在の医学では、関節リウマチを「完全に治す」ことはできません。しかし、適切な治療により「寛解」(症状がほぼ消失した状態)を達成することは十分に可能です。早期に治療を開始すれば、関節破壊の進行を抑え、日常生活への影響を最小限にできます。

妊娠・出産はできますか?

関節リウマチのある方が妊娠・出産することは可能です。ただし、使用するお薬によっては妊娠中の使用が制限されるものもあるため、医師と十分に相談する必要があります。妊娠を計画されている場合は、早めに医師にご相談ください。

治療費はどのくらいかかりますか?

治療費は使用するお薬によって大きく異なります。生物学的製剤は高額ですが、高額療養費制度や各種の支援制度を活用できます。また、当院では患者さんの状況に応じた治療法をご相談しながら進めますので、費用についても遠慮なくお聞きください。

治療中、運動をしても大丈夫ですか?

適切な運動は関節の機能維持と筋力強化に非常に重要です。ただし、炎症が強い時期の過度な運動は関節を傷める可能性があるため、医師やリハビリ専門家の指導に基づいて活動することをお勧めします。当院のリハビリテーション科で個別指導も行っています。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。

最終更新日:2026年3月

岸谷整形外科クリニック

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