骨粗しょう症(Osteoporosis)
骨粗しょう症について
骨がもろくなる病気 ― 早めの検査と予防が大切です
骨粗しょう症は、骨の強度が低下することで、ささいな転倒やぶつかっただけで骨折しやすくなる病気です。特に閉経後の女性に多いことで知られていますが、男性や若い世代でも起こることがあります。
初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが多いです。しかし、早期に発見し、適切な治療と生活習慣の改善を行うことで、骨折を防ぎ、活動的な人生を続けることができます。
こんな症状はありませんか?
- 身長が縮んだ
- 背中や腰が曲がってきた
- 腰や背中に痛みがある
- 閉経後である
- 家族に骨粗しょう症の人がいる
- ささいなことで骨折した
骨粗しょう症とは?
骨粗しょう症は、骨の密度が低下し、骨がもろく、折れやすくなる病気です。骨は生きた組織であり、常に古い骨が壊され、新しい骨が作られています。骨粗しょう症では、この骨の代謝バランスが崩れ、骨が失われる速度が、新しく作られる速度を上回ってしまいます。
多くの場合、骨粗しょう症そのものに自覚症状はありません。気づかないうちに骨がもろくなり、骨折をして初めて「骨粗しょう症」と診断されるケースも珍しくありません。そのため、定期的な検査による早期発見が非常に重要です。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因は、大きく「原発性」と「続発性」の2つに分けられます。
原発性骨粗しょう症
明確な原因疾患がなく、加齢や、特に女性ではエストロゲン低下(閉経)が主な原因となる骨粗しょう症です。
- 閉経後骨粗しょう症(Ⅰ型)― 女性ホルモン(エストロゲン)の低下により、40〜70代の女性に多く発症
- 加齢性骨粗しょう症(Ⅱ型)― 加齢に伴う骨の変化により、男女ともに70代以上で増加。カルシウムやビタミンDの吸収低下も関係
続発性骨粗しょう症
他の病気や薬の影響によって起こる骨粗しょう症です。以下の条件が当てはまる場合は、注意が必要です。
- 慢性腎臓病・肝臓病
- 関節リウマチなどの炎症性疾患
- 甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患
- ステロイド薬の長期使用
- 栄養不良・吸収障害
症状と好発骨折部位
骨粗しょう症自体には自覚症状がありませんが、骨折が起きると急激に症状が現れます。
主な症状
- 背中や腰の痛み(圧迫骨折による)
- 身長が低くなる、背中が曲がる(脊椎圧迫骨折の積み重ね)
- 転倒後の急激な痛みと動作不能
好発骨折部位(折れやすい場所)
| 骨折部位 | 特徴 |
|---|---|
| 脊椎圧迫骨折 | 最も多い。軽い転倒や重い物を持つだけで起こることもあり、背中や腰の痛みが特徴 |
| 大腿骨近位部骨折 (股関節部) | 転倒して股関節を打つことで起こり、歩行困難になることが多い。寝たきりのリスクが高い |
| 橈骨遠位端骨折 (手首) | 転倒時に手をついた時に起こることが多い |
| 上腕骨近位部骨折 (肩) | 転倒で肩を打つことで起こる。腕の動きに制限が出る |
これらの骨折、特に脊椎や股関節の骨折は、生活の質(QOL)に大きく影響します。介護が必要になったり、寝たきりにつながるリスクもあるため、骨折の予防が極めて重要です。
検査・診断
骨粗しょう症の診断には、複数の検査を組み合わせます。当院では以下の検査を行います。
| 検査方法 | 内容 |
|---|---|
| 骨密度測定 (DXA法) | X線を使って骨密度を測定。標準検査は腰椎と大腿骨の2か所で行い、骨粗しょう症の診断に最も信頼性が高い |
| X線検査 | 脊椎の圧迫骨折の有無や、骨の状態を確認 |
| 血液検査 (骨代謝マーカー) | 骨の代謝状態を評価し、治療効果の判定に用いられる |
当院での骨密度測定について
当院では、DXA法による正確な骨密度測定を行っており、測定部位は腰椎と大腿骨の2か所で実施します。腰椎は約40秒、大腿骨は約20秒と短時間で測定でき、放射線被曝も極めて少なく、身体への負担なく信頼性の高い測定値が得られます。
当院での診療
骨密度測定(DXA法)
当院では、骨粗しょう症の診断と経過観察のため、最新のDXA装置を導入しています。腰椎と大腿骨の2か所で測定することで、より正確な診断が可能です。この測定により、骨折リスクを客観的に評価し、治療方針を決定します。
X線検査
脊椎や股関節の状態を詳しく確認し、すでに圧迫骨折が起きていないか、骨の変化がないかを評価します。
血液検査(骨代謝マーカー)
骨がどの程度壊されて、新しく作られているかを評価する検査です。治療の効果判定や、治療継続の必要性を判断するのに役立ちます。
薬物治療
骨粗しょう症の程度と患者様の状態に応じて、複数の薬剤から最適なものを選択します。
| 薬剤の種類 | 作用機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| ビスホスホネート | 骨の破壊を抑制 | 最も一般的。効果が確立された第一選択薬 |
| デノスマブ | 骨の破壊を抑制 | 注射薬。6ヶ月ごとの投与で、服用の手間がない |
| テリパラチド | 骨の形成を促進 | 週1回の注射。骨を作る作用が強い |
| ロモソズマブ | 骨形成促進+破壊抑制 | 新しい薬剤。骨形成と破壊抑制の両方に作用 |
| SERM (選択的エストロゲン受容体モジュレーター) | エストロゲン様作用 | 女性ホルモン低下に対する治療。副作用が少ない選択肢 |
| 活性型ビタミンD | カルシウム吸収促進 | カルシウムの吸収を助け、補助的に使用 |
治療薬は、骨粗しょう症の進行度、他の疾患の有無、年齢や性別などを総合的に判断して決定します。定期的な検査で効果を確認しながら、個別に対応していきます。
リハビリテーション(転倒予防・筋力強化)
薬物治療と同様に重要なのが、転倒を防ぎ、筋力を維持・強化することです。当院では、患者様の状態に応じた運動指導やリハビリテーションを行います。
- 転倒予防運動 ― バランス感覚を養い、転びにくい体をつくる
- 筋力強化訓練 ― 脚・腰・背中の筋肉を強化し、骨を守る
- 姿勢改善 ― 脊椎圧迫骨折による背中の曲がりを軽減
生活で気をつけること
薬物治療と並行して、生活習慣の改善が骨粗しょう症の予防と進行の遅延に重要です。
カルシウム・ビタミンD摂取
- カルシウム ― 1日800〜1000mg を目安に。乳製品(牛乳、チーズ)、小魚、小松菜などに豊富
- ビタミンD ― カルシウムの吸収を助ける。鮭やマグロ、卵、きのこなどに含まれる
- サプリメントの活用も選択肢となります(医師に相談してください)
適度な運動
- ウォーキング ― 週3〜4回、30分程度の散歩が効果的
- レジスタンス運動 ― 軽いダンベルやゴムバンドを使った筋トレ
- 無理のない、継続できる運動が大切です
転倒予防
- 自宅の段差や危険な場所を整備する
- 照明を増やし、暗い場所を避ける
- 歩きやすい靴を選ぶ
- 必要に応じて杖や手すりを使う
日光浴
- 週3〜4回、1日10〜20分程度、日中に日光を浴びる
- 体内でビタミンDが合成され、カルシウムの吸収が改善される
その他の生活習慣
- 禁煙 ― 喫煙は骨の形成を低下させます
- アルコール適量 ― 過剰な飲酒は骨を弱めます
- 十分な睡眠 ― 骨の代謝は睡眠中に活発になります
骨粗しょう症の早期発見・予防のために、検査を受けてください
自覚症状のないまま進行する骨粗しょう症。身長が縮んだ、背中が曲がってきたなどの
変化を感じたら、すぐに検査をおすすめします。また、閉経後の女性や家族に骨粗しょう症の
方がいる場合は、定期的な検査で骨の健康をチェックしましょう。
よくある質問
骨粗しょう症の検査はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
骨粗しょう症がない方で、リスク要因がない場合は、数年ごとの検査で問題ありません。一度診断されたら、治療の効果を確認するため、通常1〜2年ごとの再検査をおすすめします。医師と相談して個別に決めましょう。
骨粗しょう症は治りますか?
骨粗しょう症そのものを「治す」のではなく、「進行を遅らせ、骨をできるだけ丈夫に保つ」という考え方が正しいです。薬物治療と生活習慣改善により、骨密度を改善させ、骨折を防ぐことが目標です。
男性でも骨粗しょう症になりますか?
はい。男性は女性ほど一般的ではありませんが、加齢に伴って発症します。特に、ステロイド薬の使用、過度な飲酒、喫煙などのリスク要因がある場合、早めに検査をおすすめします。
骨粗しょう症の薬は副作用がありますか?
薬剤によって異なりますが、一般的には副作用は少なく、多くの人が安全に使用できます。ビスホスホネートの場合、まれに顎骨への影響などが報告されていますが、正しく使用すれば大きな問題はありません。不安なことは医師に相談してください。
骨粗しょう症の人が転倒を防ぐためには何をすればいいですか?
自宅の危険な場所を取り除く、適度な運動で筋力とバランス感覚を養う、視力や聴力の低下に対応する、必要に応じて杖や手すりを使うなど、総合的な対策が重要です。当院ではリハビリテーションでこれらの指導を行っています。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。
最終更新日:2026年3月





