肘関節

  • 肘内障について

    肘内障(ちゅうないしょう)は、**幼児に多い肘関節の亜脱臼(正確には橈骨頭の亜脱臼)**で、俗に「肘が抜けた」とも言われます。以下に概要をまとめます。 ■ 肘内障の概要 項目 内容 定義 橈骨頭が輪状靱帯から部分的に逸脱した状態(亜脱臼) 好発年齢 1〜5歳の幼児(特に2〜3歳) 原因 手を引っ張る・持ち上げるなどの外力(例:子どもと手をつないで歩いていて、転びそうになったときに引っ張る など) 症状 肘の痛み、動かさない(特に肘を曲げたがらない)、腕をだらんと下げたまま手掌を内側にして保持 診断 典型的なエピソードと症状から臨床診断(X線は通常不要。ただし骨折との鑑別が必要な場合には撮影) 治療 徒手整復(多くはすぐに整復され、直後に動かせるようになる)整復法:回外しながら屈曲、または回内しながら屈曲 予後 良好(整復後すぐに動かせるようになる)ただし再発しやすい(複数回繰り返すことも) 注意点 ・再発予防のため、引っ張らないように注意する・繰り返す場合や整復困難例では整形外科受診を勧める  

  • 野球肘について

    「野球肘」は、主に投球動作を繰り返すことで肘に負担がかかり発症する使いすぎ(オーバーユース)による障害です。特に成長期の野球少年に多く見られます。 ■ 分類 野球肘は、大きく以下の3つに分類されます: 種類 病態 主な原因・症状 内側型(牽引型) 上腕骨内側上顆の成長軟骨に牽引力がかかる 肘の内側の痛み、内側上顆の裂離損傷、小児では骨端線離開 外側型(圧迫型) 上腕骨小頭と橈骨頭の間の関節軟骨や骨に圧迫が加わる 肘の外側の痛み、離断性骨軟骨炎(OCD) 後方型(インピンジメント型) 肘の後方の骨同士がぶつかり合う 肘の後方の痛み、骨棘形成(ベネット病変など) ■ 好発年齢 小学生~中学生に多い(特にピッチャーやキャッチャー) ■ 主な症状 投球時や投球後の肘の痛み 肘の圧痛(特に内側や外側) 可動域制限(進行すると伸展制限など) 運動後の腫れや違和感 ■ 診断 問診(投球頻度・痛みの経過など) 触診・徒手検査(内側上顆圧痛、外側軟骨部圧痛など) X線(骨端線離開、骨棘、遊離体) MRI・CT(OCDの評価) 超音波検査(エコー)(成長線や骨軟骨損傷の早期発見) ■ 治療 軽度 安静(投球中止)、ストレッチ、物理療法、投球フォーム指導 中~重度 長期間の投球中止、ギプス固定、手術(遊離体摘出、骨軟骨修復)など ■ 予防 投球数の制限(学年ごとの基準あり) 投球フォームの改善 十分なウォーミングアップとクールダウン ポジションのローテーション(投手専任を避ける) 肘の違和感を軽視せず早期受診 ■ 備考 特に**離断性骨軟骨炎(OCD)**は早期発見・早期治療が非常に重要。進行すると関節ネズミ(遊離体)となり手術が必要。  

  • 整形外科の肘の病気・けが

    以下は、整形外科でよく見られる主な肘の疾患の一覧と概要です。 🔹 主な肘関節疾患一覧(整形外科) 疾患名 概要 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) 手関節背屈筋群の過使用による外側上顆部の疼痛。中年女性に多く、握力低下や手の使用で痛みが増悪。 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) 手関節屈筋群の過使用による内側上顆部の疼痛。野球やゴルフなど繰り返しの動作が原因。 肘部管症候群 尺骨神経の絞扼性障害。小指・環指のしびれ、筋萎縮、握力低下。肘の屈曲や外反変形がリスク因子。 変形性肘関節症 加齢や外傷後に起こる肘関節の軟骨変性。可動域制限、運動時痛、ロッキングなどが出現。 肘離断性骨軟骨炎(OCD) 成長期の野球少年に多い。投球や過度の使用で上腕骨小頭の骨軟骨が壊死・剥離。 肘頭骨折 転倒や直接外力で発生。三頭筋の牽引力により転位しやすく、手術が必要な場合も多い。 上腕骨顆上骨折 小児に多い外傷。神経・血管損傷のリスクがあり、整復・固定が必要。 Monteggia脱臼骨折 尺骨骨幹部骨折+橈骨頭脱臼の複合損傷。小児に多く、整復と固定を要する。 肘滑液包炎(肘頭滑液包炎) 肘頭部の腫脹・圧痛。長時間の圧迫や外傷が原因。感染性の場合は抗菌薬や穿刺が必要。 関節リウマチによる肘関節障害 滑膜炎により肘関節の腫脹、疼痛、可動域制限。進行すると変形性関節症を伴う。 肘内障(小児) 幼児の肘の亜脱臼。急な手引きで輪状靭帯から橈骨頭が部分的に逸脱。整復で治癒。  

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