院長ブログ Vol.06|春先の膝痛
暖かくなると「そろそろ走ろうかな」と思う方は多いのではないでしょうか。
外でのランニングが気持ちよい季節になりました。
ただ、冬の間に運動量が減っていた方がいきなり走り出すと、膝まわりを痛めてしまうケースが少なくありません。
当院でも毎年この時期、「走ったら膝が痛くなった」という相談が増えます。

なぜ春先の膝痛が起こるのか
冬の間は歩く距離が短くなり、太ももやお尻の筋力が低下しがちです。
筋力が落ちた状態でランニングを再開すると、着地のたびに膝関節にかかる衝撃を筋肉で十分に受け止められず、関節や靭帯に大きな負担がかかります。
特に多いのが、膝の外側が痛む「腸脛靭帯炎(ランナー膝)」と、膝のお皿の下あたりが痛む「膝蓋腱炎」です。
どちらも急に走る量を増やしたときに起こりやすい、いわばオーバーユース(使いすぎ)の障害です。
ダイエット目的のランニングと疲労骨折
当院で特に注意を促したいのが、「痩せたいから走る」という動機で急にランニングを始めるケースです。
食事制限と激しい運動を同時に行うと、骨への栄養供給が不十分なまま繰り返しの衝撃が加わり、疲労骨折を起こすことがあります。
疲労骨折は一度の大きな外力ではなく、小さな負荷の蓄積で骨にひびが入る状態です。
春先のランニング再開で見られやすい部位として、大腿骨(太ももの骨)や脛骨近位(すねの骨の膝に近い部分)が挙げられます。
「走ると太ももや膝の下あたりがズキズキする」「休んでも鈍い痛みが残る」といった症状が特徴的です。
疲労骨折は初期のレントゲンでは写らないことも多く、MRIで初めて診断がつく場合があります。
痛みを我慢して走り続けると完全な骨折に進行するおそれがあるため、運動中に骨を押すと痛む・走るたびに同じ場所が痛むといった場合は、早めに整形外科を受診してください。
再開時に心がけたい3つのポイント
① まずはウォーキングから始める
いきなり走るのではなく、最初の1〜2週間はウォーキングやゆっくりしたジョギングで体を慣らしましょう。
目安として「会話ができるくらいのペース」が安全です。
② 走る前後のストレッチを習慣に
太もも前面(大腿四頭筋)、太もも裏(ハムストリングス)、ふくらはぎを中心に、走る前は軽い動的ストレッチ、走った後は静的ストレッチを行うのが一般的に推奨されています。
③ シューズの状態を確認する
冬の間にしまっておいたシューズは、ソールが劣化していることがあります。
クッション性が落ちたシューズは膝への衝撃を吸収しにくくなるため、底がすり減っていないかチェックしてみてください。
こんな症状があれば早めの受診を
走った後に膝が腫れる、階段の上り下りで痛む、痛みが1週間以上続く──
こうした場合は無理をせず、整形外科を受診されることをおすすめします。
レントゲンやエコーで関節の状態を確認し、痛みの原因をはっきりさせることが大切です。
春は体を動かすには最高の季節です。
焦らず段階的にランニングを再開して、痛みなく走れる体づくりを目指しましょう。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
岸谷整形外科クリニック
院長 岸谷正樹
次回更新:2026年5月10日





