側彎症とは
側彎症について
Scoliosis ― 背骨が横に曲がる病気
側彎症とは
側彎症(そくわんしょう)は、背骨(脊柱)が正面から見て左右に曲がってしまう状態です。正常な背骨はほぼまっすぐですが、側彎症では背骨がS字やC字のカーブを描き、同時にねじれ(回旋)を伴うことが多いです。
学校の健康診断で指摘されることが多く、特に思春期(10〜15歳)の女子に多く見られます。軽度であれば日常生活に支障はありませんが、進行すると外見上の変化や痛み、まれに心肺機能への影響が出ることがあるため、早期発見・経過観察が大切です。

左:正常な背骨(まっすぐ) 右:側彎症の背骨(横に曲がっている)
こんな症状はありませんか?
- 左右の肩の高さが違う
- 腰のくびれが左右で異なる
- 前かがみになると背中の片側が盛り上がる
- まっすぐ立っているのに体が傾いて見える
- 背中や腰に慢性的な痛みがある
- 学校の健康診断で「背骨の曲がり」を指摘された
側彎症の種類
| 種類 | 特徴 | 割合 |
|---|---|---|
| 特発性側彎症 | 原因不明。思春期の女子に多い。最も一般的 | 約80% |
| 先天性側彎症 | 生まれつき背骨の形に異常がある | 約5〜10% |
| 神経筋性側彎症 | 脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの神経・筋肉の病気に伴う | 約5〜10% |
| 成人性(変性)側彎症 | 加齢による椎間板・関節の変性で発症。50歳以降に多い | ― |
側彎症の重症度(Cobb角)
側彎症の曲がりの程度は「Cobb角(コブ角)」という角度で評価します。レントゲン写真で測定し、治療方針の判断に用います。
| Cobb角 | 重症度 | 対応 |
|---|---|---|
| 10度未満 | 許容範囲 | 定期観察 |
| 10〜25度 | 要経過観察 | 定期的な経過観察。20度以上は専門施設(あすなろ医療療育センター)への紹介 |
| 25〜45度 | 中等度 | 装具療法(ブレース治療)を検討 |
| 45度以上 | 重度 | 手術療法を検討 |
検査・診断
前屈テスト(Adams前屈テスト)
両足をそろえて前屈していただき、背中を後ろから観察します。側彎症がある場合、背中の片側(肋骨や腰部)が盛り上がって見えます。学校健診でも行われるスクリーニング検査です。
レントゲン検査(X線検査)
背骨の全体像を撮影し、Cobb角を正確に測定します。曲がりの位置・方向・程度を評価し、治療方針を決定するための最も基本的な検査です。
当院での治療
経過観察
Cobb角が軽度(10〜25度)で、成長期のお子さんの場合は、3〜6か月ごとの定期的なレントゲン検査で進行を慎重に観察します。成長が止まれば進行リスクは大幅に減少します。
装具療法(ブレース治療)
Cobb角が25〜45度で、骨の成長が残っている場合に適応します。専用の装具を一定時間装着することで、曲がりの進行を抑えます。装具は曲がりを「治す」ものではなく、「進行を防ぐ」ためのものです。
リハビリテーション(運動療法)
側彎症に対する専門的なエクササイズ(Schroth法など)を理学療法士が指導します。体幹の筋力強化、姿勢の改善、柔軟性の維持を目的としたプログラムを提供しています。
手術療法
Cobb角が45〜50度以上で進行が見込まれる場合、手術(脊椎固定術)を検討します。手術が必要な場合は、専門施設をご紹介いたします。
お子さんの側彎症チェック ― ご家庭でできること
早期発見のために、ご家庭でも以下のチェックを行うことができます。
- お子さんに両足をそろえて前かがみになってもらい、背中を後ろから観察する
- まっすぐ立った状態で、肩の高さが左右で違わないか確認する
- 腰のくびれの左右差がないか見る
- 片方の肩甲骨が出っ張っていないかチェックする
よくある質問
- 側彎症は姿勢が悪いとなりますか?
- いいえ。特発性側彎症は姿勢の悪さが原因ではありません。遺伝的な要因が関与していると考えられています。重い荷物を片方で持つことも原因にはなりません。
- 側彎症は成長が止まったら治りますか?
- 成長が止まると進行リスクは大幅に減少しますが、曲がり自体が自然に戻ることは基本的にありません。ただし、軽度であれば日常生活への影響はほとんどありません。
- 運動やスポーツは続けてよいですか?
- ほとんどの場合、制限する必要はありません。むしろ適度な運動は筋力維持に有益です。ただし、装具を使用している場合は運動時の取り扱いについて医師にご相談ください。
- 大人になってから側彎症になることはありますか?
- はい。加齢による椎間板や関節の変性が原因で発症する「成人性(変性)側彎症」があります。50歳以降の方に見られ、腰痛や脚のしびれを伴うことがあります。





