体外衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shock Wave Therapy)
体外衝撃波治療(ESWT)について
整形外科の新しい治療選択肢
「痛み止めを飲んでも効かない」「注射を繰り返しても良くならない」「手術はできれば避けたい」 ― そんなお悩みをお持ちの方に、新しい選択肢として注目されているのが体外衝撃波治療(ESWT)です。
体外衝撃波治療は、もともと腎臓結石を砕く治療として開発された技術を応用した治療法です。体の外から患部に衝撃波(圧力の波)を当てることで、痛みの軽減と組織の修復を促します。メスを使わず、麻酔も不要で、外来で受けられる低侵襲な治療として、世界中の整形外科で広く使用されています。

こんなお悩みはありませんか?
- 痛み止めや湿布では改善しない慢性的な痛みがある
- 注射を繰り返しているが根本的に良くならない
- 手術はできるだけ避けたい
- 仕事を休まずに治療を受けたい
体外衝撃波治療とは?
体外衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、高エネルギーの衝撃波を体の外から患部に照射する治療法です。衝撃波とは、音速を超えた圧力の波のことで、もともと腎臓結石を砕く治療として開発された技術を整形外科に応用したものです。
この治療には大きく分けて3つの作用があります。
① 痛みを抑える(除痛効果)
衝撃波には、痛みを伝える神経の働きを抑える効果があります。痛みの伝達に関わる「サブスタンスP」という物質を減少させることで、痛みのシグナルが弱まります。照射直後から鎮痛効果が現れ始め、複数回の治療を重ねることで効果が持続します。
※ 治療直後〜数日間は、一時的に痛みが増すことがあります。これはサブスタンスPが一過性に放出される正常な反応で、治療がうまくいっていないわけではありません。数日で落ち着きます。
② 組織を修復する(再生効果)
衝撃波の機械的な刺激が細胞に伝わると、体の中で修復のスイッチが入ります。新しい血管が作られて血流が改善し、コラーゲンの産生が促進されて、損傷した腱や筋膜の修復・再生が進みます。この修復効果は治療後数週間〜数か月かけて徐々に現れます。
③ 石灰を砕く(石灰沈着への効果)
肩の腱板などにカルシウムがたまる「石灰沈着性腱炎」では、衝撃波が石灰を機械的に砕くとともに、体内の細胞(マクロファージ)がカルシウムを吸収・除去する働きを活性化します。研究では80%以上の石灰再吸収が報告されており、体外衝撃波の最も得意とする疾患の一つです。
この治療法は2012年に日本でも医療機器として認可され、「難治性の足底腱膜炎」に対して保険適用となっています。それ以外の疾患に対しては自費診療となりますが、多くの整形外科疾患に対する有効性が国内外の研究で報告されています。
拡散型と集束型 ― 2つのタイプの違い
体外衝撃波には「拡散型」と「集束型」の2つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。
拡散型(放射状)衝撃波
圧縮空気で金属の弾を打ち出し、その衝撃を皮膚の表面から広範囲に伝える方式です。痛みが比較的少なく、広い範囲に照射できるため、筋肉のこわばりやトリガーポイントの治療にも使われます。多くのクリニックで導入されており、比較的受けやすい治療です。ただし、エネルギーは体の浅い部分に広がるため、深部の病変には十分に届きにくいことがあります。
集束型衝撃波
特殊なレンズ構造により衝撃波を一点に集中させ、体の深部にある患部にピンポイントで高いエネルギーを届ける方式です。腱付着部の損傷や石灰沈着など、深い部位の病変に対して高い治療効果が期待できます。もともと腎臓結石の破砕に使われていた技術を応用したもので、医学的なエビデンス(科学的根拠)も豊富です。
ただし、集束型の機器は高額であり、集束型体外衝撃波を導入している医療機関は全国的にも非常に少ないのが現状です。
| 比較項目 | 拡散型 | 集束型 |
|---|---|---|
| エネルギーの届き方 | 浅く広範囲に拡散 | 深部の一点に集中 |
| 到達深度 | 浅い(表層〜数cm) | 深い(数cm〜12cm程度) |
| 治療時の痛み | 比較的少ない | やや感じることがある |
| 得意な疾患 | 筋肉の痛み・広範囲の症状 | 腱付着部の損傷・石灰沈着・深部の病変 |
| エビデンス | あり | 豊富(腎臓結石治療からの長い歴史) |
| 導入医療機関 | 比較的多い | 非常に少ない |
当院では集束型体外衝撃波を採用しています。深部の患部にしっかりとエネルギーを届けることで、より高い治療効果を目指しています。
当院で体外衝撃波治療を行っている疾患
当院では現在、保存療法で十分な改善が得られなかった以下の疾患に対して体外衝撃波治療を行っています。
肘
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) ― 肘の外側の痛み。物を持ち上げる・雑巾を絞るなどの動作で痛みが出ます
- 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) ― 肘の内側の痛み。手首を曲げる動作や握る動作で痛みが出ます
足・足首
- 足底腱膜炎(足底筋膜炎) ― かかとの痛み。体外衝撃波治療の最も代表的な適応疾患です
- アキレス腱炎・アキレス腱付着部症 ― アキレス腱の痛みや腫れ
※ いずれも、薬物療法やリハビリなどの保存療法を一定期間行っても改善が乏しい場合に適応を検討します。
当院での治療の流れ
① 診察・検査
まず医師が症状を詳しくお聞きし、超音波検査(エコー)やX線検査で患部の状態を確認します。体外衝撃波治療が適切かどうかを判断し、治療計画をご説明します。
② 照射部位の確認
超音波検査で患部の位置を正確に特定します。エコーガイド下で照射するため、ピンポイントで患部に衝撃波を届けることができます。
③ 衝撃波の照射
患部にジェルを塗り、専用の機器を当てて衝撃波を照射します。照射中は「トントン」という衝撃を感じますが、出力は患者さんの感覚に合わせて調整しますのでご安心ください。1回の治療時間は約10〜15分です。
④ 治療後
治療後はそのままお帰りいただけます。入院の必要はなく、日常生活に制限もありません。治療当日の激しい運動は控えていただきますが、翌日から通常通り過ごせます。
治療回数とスケジュール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1回の治療時間 | 約10〜15分 |
| 治療回数 | 3〜5回(症状によって異なります) |
| 治療間隔 | 1〜2週間に1回 |
| 効果の実感 | 2〜3回目の治療後から徐々に改善される方が多いです |
| 最大効果 | 治療終了後 約1〜3か月で最大の効果が得られます |
※ 効果の現れ方には個人差があります。治療回数は症状や経過に応じて医師が判断します。
体外衝撃波治療のメリットと注意点
メリット
- 非侵襲的 ― メスを使わないため、傷跡が残りません
- 麻酔不要 ― 局所麻酔や全身麻酔は必要ありません
- 外来治療 ― 入院の必要がなく、治療後すぐにお帰りいただけます
- 副作用が少ない ― 重篤な副作用の報告はほとんどありません
- 日常生活への影響が少ない ― 仕事や学校を休む必要がありません
- 他の治療との併用が可能 ― リハビリやインソール療法などと組み合わせて効果を高められます
注意点
- 治療中に軽い痛みや違和感を感じることがあります(出力を調整して対応します)
- 治療後に一時的に痛みが増すことがありますが、通常は数日で落ち着きます
- 効果の実感には個人差があり、数回の治療が必要です
- すべての疾患・すべての患者さんに効果があるわけではありません
体外衝撃波治療を受けられない場合
以下に該当する方は、安全のため体外衝撃波治療をお受けいただけないことがあります。
- 妊娠中の方
- 血液凝固障害のある方、抗凝固薬を使用中の方
- 治療部位に悪性腫瘍がある方
- 治療部位に感染症がある方
- 成長期のお子さん(骨端線への照射)
- ペースメーカーを使用中の方(照射部位による)
該当する方でも、症状や状態によっては治療が可能な場合がありますので、まずはご相談ください。
長引く痛み、あきらめていませんか?
体外衝撃波治療は、薬や注射で改善しなかった痛みに対する新しい選択肢です。
当院では超音波検査で正確に患部を確認しながら、一人ひとりに合わせた治療を行っています。
まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
治療は痛いですか?
衝撃波の照射中に「トントン」という衝撃と軽い痛みを感じることがありますが、出力は患者さんの感覚に合わせて調整します。麻酔は不要です。また、治療後に一時的に痛みが強くなることがありますが、これは痛みに関わる物質(サブスタンスP)が一過性に放出される正常な反応です。数日で落ち着きますのでご安心ください。
何回くらいで効果が出ますか?
多くの患者さんは2〜3回目の治療後から症状の改善を実感されます。最大効果は治療終了後1〜3か月ほどで得られます。ただし効果の現れ方には個人差がありますので、焦らず治療を続けることが大切です。
仕事は休む必要がありますか?
その必要はありません。治療時間は10〜15分程度で、治療後はそのまま通常の生活に戻れます。激しいスポーツは治療当日だけお控えいただきますが、デスクワークや軽い作業は問題ありません。
副作用はありますか?
治療後に一時的な痛みの増強、赤み、軽い腫れが出ることがありますが、いずれも数日以内に自然に治まります。重篤な副作用の報告はほとんどなく、安全性の高い治療です。
1回の治療でどのくらい痛みは改善しますか?
1回の治療だけでは劇的な改善を感じにくいことが多いです。複数回の治療を重ねることで徐々に効果が高まっていきます。「効果がない」と判断する前に、まずは3回程度の治療を受けていただくことをお勧めします。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。体外衝撃波治療の適応については、診察時に医師にご相談ください。
最終更新日:2026年5月





