部活や運動を頑張る子どもの「腰が痛い」を見逃さないために
― 部活や運動を頑張る子どもの「腰が痛い」を見逃さないために ―
- 成長期(小学校高学年〜高校生)の腰痛が大人の腰痛と違う理由
- 筋肉の疲れ・腰椎分離症・椎間板の障害など、主な原因の見分け方
- 早めに受診したほうがよいサインと、当院での検査・治療
- 練習との付き合い方と、再発を防ぐためのセルフケア
成長期の腰痛とは
「子どもが腰を痛がっているけれど、若いからそのうち治るだろう」――そう思われる方も多いかもしれません。たしかに、運動後の筋肉の張りによる一時的な腰痛は少なくありません。しかし成長期の腰痛には、骨の疲労骨折(腰椎分離症)など、早く見つけるほど治りやすいものが一定の割合で含まれています。
研究報告では、スポーツをしている成長期の子どもで2週間以上続く腰痛がある場合、その中にかなりの割合で腰椎分離症が見つかるとされています。「長引く腰痛」は、体からの大切なサインです。
こんな症状はありませんか?
- 腰の痛みが2週間以上続いている
- 体を後ろに反らすと腰が痛い
- ジャンプ・ひねり・スイングなどの動作で腰に痛みが走る
- 前かがみになると痛い、または太ももの裏が硬くて前屈ができない
- お尻や脚にしびれ・痛みが広がる
- 練習を休むと楽になるが、再開するとまた痛む
成長期の腰はなぜ痛めやすい?
背骨(腰椎)は、骨と骨の間にクッションの役割をする「椎間板」がはさまり、後ろ側は「椎間関節」という小さな関節でつながっています。成長期の骨は、まだ大人のように硬く完成しておらず、骨の端には成長軟骨という柔らかい部分が残っています。
さらにこの時期は、骨が先に伸びて筋肉の成長が追いつかないため、太ももの裏(ハムストリング)や太ももの前(大腿四頭筋)、股関節まわりの筋肉が相対的に硬くなりがちです。体が硬い状態で、反る・ひねる・跳ぶといった動作を繰り返すと、腰の特定の部分に負担が集中してしまいます。
成長期に多い腰痛の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 筋・筋膜性腰痛 | 使いすぎによる筋肉の疲労や張り。比較的短期間でよくなることが多い。 |
| 腰椎分離症 | 腰の骨の後ろ側に起こる疲労骨折。反らす・ひねる動作で痛む。早期なら骨がつく可能性がある。 |
| 椎間板の障害(ヘルニア・終板障害) | 前かがみや座っていると痛む。ヘルニアでは脚のしびれ、太もも裏の強い硬さが目立つことも。 |
| その他 | 側弯症、まれに骨の感染や腫瘍など。安静にしても痛む場合は注意が必要。 |
腰椎分離症については、「腰椎分離症 スポーツ障害」の記事でくわしく解説しています。
原因
- 練習量の急な増加:新学期・大会前・合宿などで練習時間や強度が急に上がる
- 同じ動作の繰り返し:野球・ソフトボールの投球や打撃、サッカーのキック、バレーボール・バスケットボールのジャンプ、体操・ダンスの反る動作など
- 体の硬さ:ハムストリング・大腿四頭筋・股関節まわりの柔軟性低下
- 体幹の筋力不足:腹筋・背筋・お尻の筋肉で腰を支えきれない
- 休養・睡眠・栄養の不足:骨や筋肉の回復が追いつかない
症状と経過
痛みの程度によって、運動とのつきあい方の目安が変わります。
| 段階 | 状態 | 運動の目安 |
|---|---|---|
| 軽度 | 運動後に張る程度。翌日には軽くなる | ストレッチ・ケアをしながら継続可。練習量は見直す |
| 中等度 | 運動中にも痛む。特定の動作で痛みが出る | 痛む動作を控え、早めに受診 |
| 高度 | 痛みでプレーに支障が出る。2週間以上続く | 運動を中止して受診。画像検査で原因を確認 |
| 要注意 | 安静時・夜間も痛む、脚のしびれや力が入らない | できるだけ早く受診 |
検査・診断
| 検査 | わかること |
|---|---|
| 問診・触診 | いつから・どの動作で痛むか、競技・練習量、押して痛む場所を確認します。 |
| 動作評価 | 反らす・前屈・ひねる動作での痛み、太もも裏や股関節の柔軟性、脚のしびれや筋力をチェックします。 |
| X線(レントゲン) | 骨の形、側弯、進行した分離症などを確認します。ただしごく初期の分離症はX線では写らないことが多いです。 |
| 超音波エコー | 筋肉や筋膜の状態を、被ばくなくその場で確認できます。 |
| MRI | X線で写らない初期の分離症(骨の中のむくみ)や椎間板の状態を確認できます。当院ではオープンMRIを備えており、閉所が苦手なお子さんでも比較的安心して検査を受けていただけます。 |
骨の状態をさらに詳しく調べる必要がある場合は、連携する医療機関でCT検査をご案内することがあります。
当院での治療
成長期の腰痛の治療は、練習量の調整とリハビリテーションが中心です。原因によって休む期間や方法が異なるため、診断に合わせて計画を立てます。
練習量の調整・安静治療の柱
痛みの原因となる動作を一時的に控えます。筋肉の疲労であれば短期間の調整で済むことが多い一方、初期の腰椎分離症では骨をつけるために数か月の運動休止とコルセットが必要になることがあります。休む期間中もできる運動を一緒に考えます。
リハビリテーション治療の柱
理学療法士が一人ひとりの体をチェックし、次のような運動を指導します。
- 太もも裏・前、股関節まわりのストレッチ
- 腹筋・お尻の筋肉など体幹を安定させるトレーニング
- 競技動作(投げる・跳ぶ・ひねる)のフォームの見直し
装具(コルセット)
分離症などで腰の動きを制限する必要がある場合に使用します。
薬・物理療法
痛みが強い時期には、必要に応じて痛み止めや湿布、温熱などの物理療法を短期間併用します。
段階的な競技復帰
痛みや画像所見、柔軟性・体幹機能を確認しながら、ジョギング→基本練習→実戦と段階的に戻していきます。
日常生活での注意・予防
- 練習前後のストレッチ(特に太もも裏・前、股関節)を習慣にする
- 週に1〜2日は運動を休む日をつくり、練習量を急に増やさない
- 睡眠を十分にとり、骨の材料となるカルシウム・たんぱく質・ビタミンDを意識した食事を心がける
- 長時間のスマホ・ゲームや悪い姿勢での勉強が続かないよう、こまめに体を動かす
- 痛みを感じたら我慢せず、指導者や保護者に伝える習慣をつける
- 保護者・指導者は「休むことも練習のうち」という声かけを
よくある質問
成長痛だと思って様子を見ていても大丈夫ですか?
一般に「成長痛」と呼ばれるものは主に脚の痛みで、腰痛に使われることはほとんどありません。運動で腰が痛み、2週間以上続く場合は、腰椎分離症などの可能性があるため一度受診をおすすめします。
レントゲンで異常がないと言われました。もう安心ですか?
初期の腰椎分離症はレントゲンでは写らないことが多く、MRIで初めてわかることがあります。痛みが続く場合はMRIでの確認をご相談ください。
練習は完全に休まないといけませんか?
原因によって異なります。筋肉の疲労であれば、痛む動作を控えながら一部の練習を続けられることもあります。分離症の初期では骨をつけるために一定期間の運動休止が必要です。診断に合わせてご相談しましょう。
どのくらいで競技に戻れますか?
筋・筋膜性の腰痛なら数日〜数週間、初期の腰椎分離症では骨がつくまでに数か月かかることが一般的です。復帰を急ぎすぎると再発や長期化につながるため、段階的に戻していきます。
注射や衝撃波で早く治せませんか?
ハイドロリリースや体外衝撃波治療は基本的に成人向けの治療で、成長期のお子さんには原則行っていません。成長期の腰痛は、練習量の調整とリハビリで改善するケースが多いです。
予防のために家でできることはありますか?
お風呂上がりの太もも裏・前と股関節のストレッチ、十分な睡眠、バランスのよい食事が基本です。リハビリで教わった体幹トレーニングを続けることも再発予防に役立ちます。
長引く腰痛は、早めのチェックを
成長期の腰痛の多くは、早く原因を見つけ、適切に休み、体の使い方を整えることでよくなります。「試合が近いから」と我慢を続けると、治るまでに時間がかかってしまうこともあります。
当院では、オープンMRIによる早期診断と、理学療法士によるリハビリで、お子さんが安心して競技に戻れるようサポートしています。保護者の方からのご相談もお気軽にどうぞ。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。
最終更新日:2026年10月
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※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は医師の診察を受けてください。
最終更新日:2026年9月





